テスラの発明には、誘導モーターやテスラコイルのように生前に実用化されたものと、 世界システムや放射エネルギー・システムのように未完成のものとがあります。この うち後者の発明群はマスコミや後世の研究者によって拡大解釈された結果、さまざま な誤解も生まれています。そうした誤解を解くためにも、ここではできるだけテスラ のオリジナル特許に即して紹介していきたいと思います。

紹介する主な発明品リスト


*発明品のタイトルは一般的な呼称にしてあります。
また、特許については関連する特許のうち、代表的
なものをひとつだけ記載しました。
特許を取得したもの
タイトル
特許タイトル
特許番号
出願年月日
説明
二相誘導モーターElectro-Magnetic MotorNo.381,968
1887.10.12
記念すべき交流誘導モーターの第一号です。
多相交流システムElectrical Transmission of PowerNo.382,280
1887.10.12
送配電システムにおける交流の勝利を決定づけた発明です。
高周波発電機Alternating-Electric-
Current Generator
No.447,921
1890.11.15
テスラはこの発電機を使って約2万サイクルの交流を発生させ、数々の先駆的実験を行いました。初期の無線電話やラジオ放送にはこれから発展したフェッセンデンやアレクサンダーソンの高周波発電機がよく使われました。
放電照明System of Electric LightningNo.454,622
1891.4.25
蛍光燈やネオンサインの先駈けとなりました。
人工地震システムReciprocating EngineNo.514,169
1893.8.19
オウム真理教を躍らせた発明です。人工地震システムは少しオーバーで、発明の中身としてはピストン・エンジンを利用した機械振動の発生装置です。
同調回路System of Transmision
of Electrical Energy
No.645,576
1897.9.2
ラジオやテレビにはなくてはならない回路です。ラジオの発明者をめぐるマルコーニとの裁判に勝利する決め手となりました。
テスラコイルElectrical TransformerNo.593,138
1897.5.20
初期のラジオや無線によく使われていました。現在でも碍子(がいし)の絶縁試験などに使われている息の長い発明です。テスラ研究者の必須アイテムでもあります。
無線操縦システムMethod of and Apparatus for
Controlling Mechanism of Moving Vessels or Vehicles
No.613,809
1898.7.1
1898年11月、テスラはマディソン・スクウェア・ガーデンで無線操縦ボートの公開実験を行いました。これは世界最初の無線操縦実験とされています。電波の選択にテスラの同調回路が使われました。その応用はテレビのリモコンから宇宙開発まで広がっており、われわれがいかに彼の発明の恩恵に浴しているかがわかる発明です。
無線送電システムArt of Transmitting Electrical Energy Through the Natural MediumsNo.787,412
1900.5.16
テスラ後半生の夢でした。
放射エネルギー・システApparatus for the Utilization of Radiant EnergyNo.685,957
1901.11.5
太陽や宇宙から地球に降り注ぐ電磁波や苛電粒子のエネルギーを貯蔵し、電源として利用しようという発明です。
ブレードレス・タービンFluid PropulsionNo.1,061,142
1909.10.21
耐久性に優れ、メンテナンスの容易な構造から、NASAも含めて、今研究者の間でもっとも注目されている発明です。
垂直離着陸機Method of Aerial TransportationNo.1,655,113
1921.9.9
テスラ70代の発明です。テスラは若いころから自動車や飛行機の発明に関心を持っていましたが、これが天才最後の発明になりました。
特許を取得しなかったもの
タイトル
論文タイトル等
説明
世界システムTransmission of Energy Without Wirewardenclyffe tower
ワーデンクリフの研究所は世界最初のラジオ放送局、世界最初の無線送電基地となるはずでした。
粒子破壊兵器New Art of Projecting Concentrated Non-Dispersive Energy through Natural Mediaよく殺人光線と間違えられますが、現代の兵器では苛電粒子ビーム兵器に発想が近いといわれています。

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